2回目の中国A

清らかな少女の如く

清らかな少女の如く

7時間かけて悪路をやって来たのです。絶えず何かにつかまって(しがみついているって感じ)いましたので、正直言ってへとへとです。

 

 御土産の効果があったのは嬉しいのですが、前回も宿泊した招待所(簡易宿泊所)で、少しは休みたいところです。招待所の詳細は「戦場の不思議な夢」を参照して下さい。

 

 ?春県側が折角やる気を示してくれたのですから、勤勉で優秀な(T先生の受け売り)日本人としては口が裂けても嫌とは言えませんよね。

 

 私は当然の様に真っ先に車に乗り込み、?州港へと出発しました。

 

 15分程で?州港に到着です。選別作業場へ向け歩いていると後ろから、「請看看(見て見て)」と何さんの声。振り返ると、「怎???(どう?)」と言いながら、日傘を差してポーズを取っています。

 

 私は一瞬固まったのですが、慌てて手を叩きました。しかし、孫さんの合いの手には到底敵いませんね。李さんは笑ってるだけです(だめだこりゃ)。

 

 どうやら何さんはこの為にやって来た様です。やはり物見遊山だったのね。まぁ、そんなに喜んでくれたのなら言う事なしですけどね。暫し、清らかな少女の如く燥ぐ何さんでした(可愛い)。

 

 現場に到着すると、3人でゴソゴソちんたらと何やら作業をしています。

 

清らかな少女の如く

 

 写真左側のただ突っ立って観ているのが選別責任者の蔡さん。普段は数十名の作業を見ているのだそうです。ただ見ているだけ。見てるだけ。

 

 日本だったら一緒に作業するでしょうが、中国では完全に分業制です。監督者は一切手を出しません。日本とは考え方が違うのです。

 

 選別責任者がいるのなら「もっと早く言ってよ〜」。確かカード式ラジオがまだ1つ残ってた筈、更に煙草を3箱渡し、「これからも頼みますよ、良い仕事してくれたらもっと良い物持って来るからね」。

 

 と言いつつ、ここが正念場と考え、原料調査用に購入したCasioの気圧計のついた時計(プロトレックが登場する前のモデル)を外し、「これもあげるから頼んだよ」と、持ってけ泥棒と言う心境で渡しました。

 

 「日本に帰ってまた買えばいいや」と思いつつも、ちょっと複雑な心境でしたね。だって8000円もしたんですよ。これで上手くいかなければ大損です。

 

清らかな少女の如く

 

 置かれている原料は白くて綺麗に見えます。「ちゃんと選別されてるでしょ」と、対外貿易局の担当者。しかし、私は騙されませんよ。

 

清らかな少女の如く

 

 足でほじくると、御覧の通り中は汚い泥や異物塗れなのです。この時期雨季ですので、雨が降って表面が洗われたのでしょう。担当者「あっ」と思わず手が・・・(残念、もう遅いよ)。

 

 上手く写り込んでくれたものです。これ撮ったのKさんです(ナイス)。

 

 「数日前に雨降ったでしょ、雨で表面が綺麗になるのだから、水洗設備を設けて貰えませんか」と言うと、「水道が通ってないので出来ません」だと。

 

 さて、貴方ならどうしますか。何処から水を調達させますか。もうお解かりでしょう。解らない方は「戦場の不思議な夢」を参照して下さい。

 

 答えは次回に・・・。正解者には漏れなく私の投げキッスを(誰もいらねぇ〜よプンプン)。ですよねショボーン。

 

(つづく)


長江の水(中国人の面子)

長江の水

(「清らかな少女の如く」からの続き)

 

 皆さん正解。私の投げキッスを受け取って下さい(だから要らねぇって言ってんだろ)。

 

 堤防の先には中国を代表する大河、長江(揚子江)があるではないですか。私は言ってやりましたよ、「長江の水があるでしょ、それを使いましょうって」。するってえと、奴さん達、鳩豆です。

 

 「長江からここまで300m以上(季節によって変わる)です、ここまで水を運ぶのは人手がかかり過ぎます」って言うじゃな〜い。「ポンプを使ったら」と言うと、「電気が無い」って言うじゃな〜い。

 

 「発電機使いましょう」と言うと、「発電機?」って知らないの。皆さん知ってますよね。祭りの屋台で良く使っている、燃料入れてエンジン回して発電する奴です。中国にだって探せばあるでしょう。

 

 いや、前回の出張で、白楽雲は鉱山で確かに見たぞ。読者の皆さんも見た筈。明日鉱山に行けば解りますが。今知りたいと言う方は「人気者」の記事の3人の子供の写真を見てください。

 

 しかし最早彼らは興味を失っています。やれやれ、水洗設備は無理か。

 

 原料の規格は、250〜50oなんですが、+250oが多すぎて、これも改善の必要があります。工場の機械に入らないのです。無理に入れると壊れてしまう為、小割しなければなりません。

 

 しかし彼らは、「小さくすると−50oが増えてしまうから勿体ない」とぬかすんですよ。規格は規格、「あ゛〜ん、アンタらの都合なんて関係ねぇ〜んだよ」とは言わないで、ここは冷静に行きましょう。

 

 「このままの状態ならば、この原料の使用は止める事になります、良い原料なのに勿体ないですね、規格順守と水洗の徹底をしてもらえるならば、−50oも原料として検討しても良いんですけどね」。

 

 と言うと、「具体的に如何すれば良いんですか」と食いついて来ましたよ。「網(10o)の上で水洗して泥や異物を洗い流してくれるのならば、50〜10oと言う新規格を作っても良いと言う事です」。

 

 −50oは泥や異物が多く、原料として使用できないのです。仕方なく彼らは、工事用の砕石としてほとんどタダ同然で業者に渡しているんです。それが売れるとなれば・・・。

 

 「さっきの水洗設備についてもっと話し合いませんか」。「話し合いじゃねぇ〜だろ、教えて下さいだろ、あ゛〜」と言う言葉も飲み込みましょう。

 

 「明日、鉱山に行けば解りますよ、その設備があるから」って、何で客の俺が知ってて、担当者のアンタが知らないんだよ。これが完全分業制の欠点ですね。自分の仕事以外頭にないんです。

 

 私は以前、アルバイトで、橋脚の強度劣化促進工事で、穴の掘削時の冷却水に川の水をポンプで汲み上げて使用した経験(「災害対策の旗の基」参照)があったのです。「経験は力なり」ですね。

 

 私は、水洗設備を導入した場合、必要となる作業が出来るか否か、選別責任者の蔡さんと担当者を交え確認し、蔡さん煽てて(更にたばこ2個あげて)?州港を後にしました。

 

 ?春に戻ると嫌な嫌な宴会です(「戦場の不思議な夢」参照)。

 

 連れていかれたのは以前とは違う小ざっぱりとしたレストランです。Kさんが、「N(前担当者)から酷い店だったと聞いてましたが、悪くはないじゃないですか」、「前回は酷かったですよ、ヤモリが這ってましたからね」。

 

 私は「ここは如何言う店?」と聞くと、副県長さんが「?春で一番のレストランです」だってさ。「前回の店(?春で一番のレストランだった筈)は如何なったのですか」と聞くと、担当者とヒソヒソして「ここに移ったんです」だと。

 

 テーブルも使い込んでいるみたいだし(前回のレストランに在った物じゃない)、半年しか経ってないのに不自然です。これが中国人の面子って奴です。ただの嘘ではないですよ。

 

 自分達の立場と客の立場を慮っての嘘ですからね。解ってやりましょう。ただ、皮肉を込めて、こちらも面子を通しましょうか。「前の店の方が良かったですよ、こんなに立派な店だと緊張しちゃいます」(やな奴)。

 

 まぁ、私達が客としてランクが数段上がったって事だから、その証拠に、対外貿易局長と副局長までやって来ました。もう土産が無い。仕方なく、中国で買った煙草1カートンと残り全部あげました。

 

 宴会も程無く終わり、宿舎で固形燃料使ってミネラルウォーターを沸かして、カップラーメンで口直しです(美味い)。だって、ゲロマズ料理なんてまともに食べられないですからね。

 

 Kさんと食後のコーヒー飲みながら、今日のまとめと明日の作戦会議をちょこっとして、さっさとオネムの時間です。

 

 しかし、中国人との交渉は骨が折れます。あちらの立場を慮ってやらないと先に進まないのですから。でも、ここまではまずまずの展開です。明日は如何なるのかな・・・。

 

(つづく)


皆の者、控え〜い、控えおろ〜

控えおろ〜

昨日の宴会場であったレストランで御粥を食べて、鉱山へ向け出発です。鉱山でも何さんは日傘を差し、ウキウキです。

 

 今回、「なんか違うなぁ」と思ったら、前回、私に着いて来たギアラリー(村人が)いません(「人気者」参照)。それもそのはず、私のギャラリーは皆、何さんに着いています。「くっそ〜」。

 

 孫さんが、何さんに囁くと、何さん後ろを振り返り、ニッコニコの上機嫌です。映画の大女優がロケ現場に向かって歩いている様な気分でしょう。私はちょっと嫉妬を覚えつつ、鉱山に急ぎました。

 

 「ほら、これこれ」。

 

控えおろー

 

 国営企業の李さんと、対外貿易局の担当者を呼んで、「皆の者、控え〜い、この御機械様が眼に入らぬか〜、恐れ多くも発電機におわすぞ〜、頭が高い、控えおろ〜」(うっせぇ〜な)。ごめんなさい。

 

 「李さん、帰るまでに簡単な設計図描くから、お宅の機械部門で調べて貰って、御二人で相談して下さい」、「OK、OK」、「頼のみましたよ」。

 

 さて次は、生産量の拡大です。バールの先が尖った様な鉄の棒で、突っ突いて突き崩しているのが現状です。勿論全て人力です。これでは生産効率が悪いに決まっています。「何とかせねば」。

 

 対外貿易局の担当者によると、近々湖北省の建設大隊が、重機で表土を取り除く事になっていると、得意そうに言うので、「それで生産量が3倍になるのですか」と聞くと、「・・・」。

 

 「発破の使用は出来ませんか」、「ダイナマイトは高価で使えません」、「ア○ホなら安価でしょ」、「ア・・・、何ですか」、「安価な爆薬の名前です、鉱山で主に使われる爆薬です」。

 

 私は大学で「爆破工学」を学びました。「公安さん、決してテロに加担などしませんので、安心して下さい、本当ですからね」。

 

 「簡単ですから作り方教えましょうか、それよりも建設大隊に聞いてみてたら如何ですか、安くてもダイナマイトと同等の破壊力がありますよ」、「解りました、早速調べてみます」。

 

 中国の人は、自分が解らないと何でも出来ないと言い切りますから困ります。面倒なので調べようとしないんですね。これでは発展性がありません。改革開放が始まったばかりですから、仕方ないのかも知れませんが。

 

 逆にその方が日本にとっては都合が良いのかも知れません。中国人がやる気を出したら、人口が多いですから、日本なんてあっと言う間に置いて行かれるでしょう。近年の発展ぶりは脅威と言わざるを得ません。

 

 取りあえず言いたい事は言いましたので、後の事はKさんにお願いして、私は鉱山の写真撮影に専念です。会社の馬鹿どもは、内容を理解しようとはしませんので、写真を貼り付ければ喜ぶのです。

 

 暫し写真撮影をしていると、突然私の身体にアクシデントが・・・。

 

 次回、緊急事態を如何乗り越えるのか、危うし白楽雲。 

 

(つづく)


緊急事態(急げ山の頂へ)

緊急事態

写真撮影の最中に異変を感じた白楽雲。鉱山調査で重要な事は生理的現象が起きない様に、出発前に後顧の憂いの無き様、トイレをしっかり済ませる事なのですが・・・。

 

 この日もいつもの様にトイレは済ませて来た白楽雲だったのですが、不十分だった様です。小の方ならばまだしも、拙い事になりそうです。

 

 このまま収まる事は無いでしょう。かと言って、27歳に成ったばかりの白楽雲には恥じらいとためらいがあります。例え村でトイレを借りるとしても、その距離は結構ありますから間に合わないかも知れません。

 

 日頃使っていないコンピューターをフル稼働して出した答えは、「下に降りても活路が無い、ならば、上に行くしか無い、頂上に行けば何とかなるかも知れない」と望みを繋ぐしか方法が無さそうです。

 

 鉱山の底に小さく見える通訳に、「邱ちゃ〜ん、山の頂上まで登っても良いですか」。ちょっと間があり、「良いけど、何もないそうですよ〜」、「それじゃ〜ちょっと行って来るよ〜」。すると皆さん、上に上がって来ようとします。

 

 なぜ彼は山に登るのか・・・。そこに山があるからなのか・・・。いや人がいないと思われるからですね。着いて来られちゃ困ります。

 

 「やばいよ、やばいよ」。

 

 「上でちょっと写真撮るだけだから、すぐ戻って来るから待っててくださ〜い」。すると皆さん歩を止めて、やれやれといった感じです(登るのシンドイですから)。「良し、これで何とかなりそうだ」と思ったのでした。

 

 しかし、そうこうしている間にも、のっぴきならない状態になっています。取り敢えず上に歩を進めつつも、下半身に渾身の力を入れ続けないと悲惨な事になりそうです。

 

 「いかん」、暫し歩を止めて耐え忍ぶ白楽雲。カモフラージュの為、写真撮影で誤魔化します。すると、神の助けかスウッと収まって来ました。しかし、過去の経験上このまま収まる筈がないのです。

 

緊急事態

写真撮影で誤魔化している時の写真

 

 「一度登ると決めた以上、登るのが漢、弱音を吐いたら負けだ」と訳の解らない事を呟きながら、急斜面を進む白楽雲。その顔には目的を遂げようとする男の悲壮感が滲み出ています。

 

 またしても、耐えがたい苦痛に襲われ、立ち尽くす白楽雲。「頑張れ頂上はもうすぐだ、ここで諦めてどうするんだ」と自分に喝を入れつつ、尚も上り続けた甲斐あって、頂上が視界に見えて来ました。

 

 歩きながらもベルトを緩め、シミュレーションします。「頂上に着くなり、下半身を露わにし、しゃがむと同時に目的を達成、その間絶えず監視の眼を緩めない」。兎に角時間勝負、手間取ってると怪しまれかねません。

 

 何とか頂上に到着し、目的を遂げた白楽雲。

 

緊急事態

監視中の写真(尻丸出しで撮影)

 

 すっかりスッキリした彼は、山頂からの眺めをカメラに収め、下山しようとしたその時、鉱山とは反対側の斜面から、ゴソゴソと何かが近づいて来る物音がして振り向くと、人が・・・。

 

 斜面を登って来た農夫と思しき男は、見慣れない白楽雲の姿を眼にすると、鋭い眼光を向けています。たまらず「?好」と声をかけるも、無視して畑の方へ歩いて行きました。

 

 もう少し遅かったら、恥ずかしくもあられもない姿を見られてしまうところです。間一髪セーフ。ホッと胸をなでおろす白楽雲です。

 

緊急事態
緊急事態

頂上で写したパノラマ写真

 

 この後、13年もの間中国と深く係る事になる白楽雲は、何度か同じ経験をする事になるのですが、何処に行っても何処からともなく人が湧いて来るのです。彼が引き寄せるのでしようか。

 

 中国は、それだけ人が多いと言う事かも知れません。

 

 こうして辛くも難を逃れた彼は、山頂に大きな足跡、いや大きな印を残し、一目散に下山するのでした。

 

 人生初の野○○を山の頂でしてしまった白楽雲。果たして運が開けるでしょうか。乞う御期待・・・。

 

(つづく)


神の降り立つ頂(創作物語)

神の降り立つ頂

ここは、中国湖北省のとある農村です。中国でも特に貧しい地域と言っても良いでしょう。

 

 村には、一人の若い農夫がいました。人と話すのが苦手ですが、真面目で働き者と言われています。彼の畑は小高い山の山頂近くにあります。

 

 山頂付近には彼の畑しかなく、誰にも遭う事なく気楽に農作業が出来るのですから、彼にとって山を登るのは苦では無かったのです。

 

 この日も何時もの様に山頂近くの畑に向かい登って行きました。途中灌木の茂みを掻き分けながら登って行くと、山頂に怪しい男の姿が・・・。

 

 背が高く、変わった帽子をかぶり、顔には真っ黒なメガネを掛け、彼の方をジッと見ているのです。手には何やら黒い箱の様な物を持っています。

 

 すると、怪しげな男は「?好」と声をかけて来ました。しかし、その言葉は訛りが強く、少なくともこの地方の訛りではありません。

 

 まずいものを観たと思った彼は、自分の畑へと歩を進め、その場から立ち去ったのです。歩きながら子供の頃、長老から聞いた話を思い出しました。

 

 「昔、忠武候(諸葛孔明)がこの辺の山の頂に祭壇を設け祈祷すると風向きが変わり、魏武(曹操)率いる魏軍を赤壁にて火責めで追い散らした」と。

 

 「もしやあれは忠武候では無かったのか、と言う事はこの山こそが祭壇を設けた山であったのでは」と思い廻らした彼が振り返ると、既に忠武候の姿はありません。「何処へ・・・」。

 

 「あれは幻であったのか、いや、先程までは確かに山頂に立っておられた筈」。恐る恐る山頂へと近づき、反対側の斜面を見ても誰もいません。

 

 ただ、そこには、たった今、正に産み落とされたであろう○○が・・・。

 

 もしかしたら、忠武候の秘め事を自分が目撃してしまったのではないかと思い、その場に蹲り、何度も非礼を詫びたのです。

 

 彼は麓から石を運び、○○があった場所に石の祠を築きました。

 

 これ以降、彼はほぼ毎日の様にこの祠にお参りするのでした。またあの神々しい忠武侯の御姿を拝し、非礼を詫びたいと思っていたのです。

 

 

 

 農夫が忠武侯の御姿を拝してから13年後の事です。

 

 今日も祠へとやって来た農夫が、祠の中を覗いてみると、小さい綺麗な箱が入っています。何やら外国の文字が書かれ、小さく漢字と見た事のない文字も書かれていますが、全く意味不明です。

 

 大きさは煙草の箱と全く同じです。「きっと、忠武侯様がくださったに違いない」と、これ以降、この小さな箱は家宝と成ったのです。

 

 今年(2016年)、あれから更に13年が経ちました。「もしや今度こそ、また御姿を現して下さるのではないか」と毎日山頂に御参りをするのでした。

 

 果たして、彼の願いは叶うのでしょうか・・・。

 

 

 

 

 

 私が、山頂で緊急事態を回避してから13年後に、鉱山の終山に伴い、再び山頂に登って別れを惜しんだのですが、私の印は既に無く(当たり前ですが)、替わりに石の祠が置かれてあったのです。

 

 祠の中には武侯祠と書かれた木片が入っていました。武侯祠とは忠武候(諸葛孔明)を祀った祠の事です。この辺り一帯には赤壁の戦(三国志の重要な出来事)に纏わる伝承があります。

 

 本当は、赤壁の戦は武漢よりも西で起こったので、この辺りは全く関係ないのですが、北宋の時代の詩人で官吏であった蘇東坡が、左遷先の黄州(?春から程近い)で、「赤壁賦」を詠んだ後、赤壁の地と間違われて、数多くの伝承が創られたのです。

 

 その為、?春一帯は、諸葛孔明が小高い山の上に祭壇を設け、風向きを変えた場所であると、まことしやかに言われているのです。

 

 私はその祠に手を合わせ、持っていた手つかずの煙草(キャスター)を一箱供えて下山したのですが、「あの煙草は如何なったのかな」と想い、遊び心で創作物語を創ってみました。

 

 私の遊びに御付き合いいただきましてありがとうございます。この話以外は全て真実ですからね。


俺を誰だと思ってるんだ

俺を誰だと思ってるんだ

(「緊急事態(急げ山の頂へ)」からの続き)

 

 山頂から転げ落ちる様に下山し、何食わぬ顔で悠々と鉱山に戻った白楽雲でしたが、12時は如何なる、いや一時は如何なるかと思っ次第です(吉本新喜劇、桑原和男師匠のパクリやないけ)。

 

 私がいない間にKさんが聞いてくれた事を教えて貰い、2・3質問して、もう鉱山には用はありません。鉱山を後にする道すがら、やはりギャラリーは何さんが引き連れています。

 

 何さんがいなければ、私に着いたギャラリーなんです。悔しいと思う反面、考えてみれば、これで良かったのですね。もし私に着いていれば、彼らは山頂までついて来たかも知れません。

 

 そうだったらと心臓が凍る思いの白楽雲です(「塞翁が馬」です)。「何さんありがとう、貴女の御蔭で恥をかかなくて済みましたよ」(白楽雲心の声)。

 

 「新しい鉱山があるから行きますか」と言われ、取り敢えず行く事にしましたが、サンプルを取るだけで退散です。鉱山調査なんて面倒な事は止め。

 

 前回調査を頑張った御蔭で、この件に関して口を挟む奴はいません。「俺を誰だと思ってるんだ、忠武候なるぞ、頭が高い」ってなもんです(お前の作り話だろ、この野○○ヤロー)。「すんません」。

 

 まだまだ始まったばかりの事業ですので、ここが肝心。誰からも文句を言われない様に、生産体制と品質の改善を実現するのが急務ですね。必要ならば再度調査すれば良いのですから(やっと解ったか)。

 

 湖北省での実績を盤石のものにしなくてはなりません。天狗になるのはまだまだお預けです(だから、天狗になろうとするのはよしなさい)。

 

 早めの昼食を済ませ、次の目的地の大冶県へ。こちらの仕事は、商社のK部長の案件です。詳しい経緯を知りたい方は、「人気者」の後半の件を参照して下さい。私はただのバドワイザー、いや、アドバイザー(つまんねえ〜)。

 

 鉱山に着とKさんが「○○さん、この鉱山如何思いますか」、私は「切羽(採掘面)を見ると良質鉱の比率はざっと3割、選別歩留まりは2割が精々、しかも、彼らがそこまでキチンとした仕事をするとも思えませんね」。

 

 「そうですね、これは断念するしかないな」。流石決断が早い。写真を撮って早々に撤収。「後はクレーム処理を如何するかが問題ですわ」、「大変ですね」と同情するものの私には関係の無い事なのです(今はね)。

 

 実は、顧客の要請で大量に輸入したものの使い物にならず困っているのです。結局、決着するのは次回(この年の10月に3度目の訪中)まで持ち越しとなります。その後、私はこの件で大儲けするのですけど(今は内緒)。

 

 招待所(簡易宿泊所)に着くと、李さんが「高校の芸術祭を観に行きませんか」って、冗談はよし子さんです。しかし、Kさんが「行きましょう」って、「しゃ〜ねえなぁ〜もう〜、かったり〜」(白楽雲心の声)。

 

 しかし、まさかあんな事になるとは・・・。行かなきゃ良かった。

 

(つづく)


僕のあの眼鏡どうしたでせうね

眼鏡

「高校の芸術祭って文化祭の様なものか・・・」。

 

 中国はアメリカと同じで、9月が新学年が始まり、6月に卒業となります。今は5月です。卒業前の発表会と言ったところでしょうか。

 

 会場の前には出演を控えた参加者と思しき人だかりが・・・。

 

眼鏡

おめかしをして出演を待つ参加者

 

 日本の高校生に比べて大人びて見えます。北京で日本の高校の修学旅行生を見たばかりなので尚更です。

 

 それもその筈、入学年は日本と同じなのですが、遅れて入学するケースが多々あり、田舎に行く程その傾向が強いのだそうです。

 

 さて、私達が与えられた席は貴賓席。県政府の高官や軍服を着た人達に混ざって何とも落ち着きません。何故か警官も、交通局の職員も皆軍服なのです。軍の管轄なのかな・・・。

 

 さて始まりましたよ。綺麗な衣装に身を包んだお嬢さん方数人が、踊りながら舞台を所狭しと動き回っています。それが終わると満場の拍手喝采。私もお付き合いでしましたよ「パチパチ」(気持ちが入ってないな)。

 

 すると、先生と生徒と思しき二人組が私の前に来て、何やら言ってます。「いったい何・・・」。通訳の邱ちゃんが「眼鏡を貸して欲しいそうです」、「何で・・・」、「ちょっと一緒に来てもらえないですか」、「だから何で・・・」。

 

 私は客席の隅に連れていかれ、邱ちゃんが声を潜めて、「暗唱をするんだそうです」、「へぇ〜、凄いじゃん」、「だけど覚えてないらしいんです」、「そりゃ大変だぁ〜」、「客席から先生がカンペ見せるんだけど・・・」。

 

 「それってインチキじゃん」、「えぇ、でもよくある事ですよ」、「・・・」、「でも彼は眼が悪くてカンペが見えないんだそうです」、「だから眼鏡貸せって・・・」、「卒業がかかってるんだそうです」、「そんなん自業自得じゃん・・・」。

 

 「兎に角、眼鏡を貸して欲しいと言ってますよ」。その生徒の縋る様な眼に負けて、「度が合うか解んないよ」と言いながら貸してやると、「良く見えるそうです」、「あら、そう、終わったら早く返してね・・・」。

 

 二人は「謝謝、謝謝」と言いながら舞台の袖に消えて行きました。

 

 私の視力は、その当時タブルオーセブン(何だよそれ)。0.07です。今は老眼が入って0.1まで回復してますけどね。簡単に言うと視力検査の一番大きな文字が解らないと言う事です。

 

 小学校まで1.0以上ありましたが、中学から勉強のやり過ぎで悪くなったんです(嘘つけ、テレビの真ん前で11PMの観過ぎだろ、スケベ)。そう言えば大橋巨泉さん御冥福をお祈りします。大好きでした(やっぱりな)。

 

 客席に戻ったものの、眼鏡が無いと舞台はおろか、真正面の人の顔も判別しずらいのです。これ以降、舞台で何をやってるのか全く解りませんので説明を省きます。お許しください。

 

 あの青年は身振り手振りを交えながら無事暗唱(いや朗読)を終えた様です。満場の拍手喝采を受けてます。「ペテンだぁ〜」と毒ずく白楽雲です。

 

 眼鏡の役目も終わり、やれやれと思ったのですが、待てど暮らせど私の眼鏡は帰って来ません。邱ちゃんに言いたくても、京劇に夢中で言える雰囲気ではありません。結局終わりまで何が何だか状態でした。

 

 全ての演目が終わり、「邱ちゃん、僕のあの眼鏡どうしたでせうね、ええ、さっき、青年に貸したまま戻って来ないあの眼鏡ですよ・・・」(「人間の証明」西條八十風)、「えっ、あ〜、ちょっと行ってきます」、「頼んだよ・・・」 。

 

 邱ちゃんがさっきの二人を連れて戻って来ましたが、「眼鏡落としてレンズにヒビが入ったそうです」、「はぁ〜、何で・・・」。確かに無残にも片方のレンズに縦一直線のヒビが・・・。「絶句」。

 

 国営企業の連中もやって来て、事情を知ると、港で「清らかな少女の如く」可愛らしかった何さんの機関銃の様な口撃に、ひたすら涙を浮かべて「対不起(すみません)」を連呼する青年。

 

 「何言ってるの」と聞くと、「私の大事なお客の眼鏡壊して如何してくれるの、弁償しなさい」って言ってます。流石「鉄の女」、いざとなると「恐」。

 

 私は、青年の涙(謝る相手が違うんですけどね)と何さんの「私の大事なお客」と言う言葉にほだされ、「いいよ〜、謝ってくれたから、いいよ〜」(吉本パクりっぱなしだな)と許してあげたのです。

 

 私は青年の肩を叩いて、「これからも頑張ってね」と言いつつ心の中では「暗唱するなら覚えなよ、覚えられないなら出るなよ」と毒づきながら、その場を離れました。健さんみたいにカッコいいでしょ。

 

 「面子の為なら何でもすると言う考えを捨てて、正直に生きようよ、それが中国の発展につながるんだよ」と思いつつも「いや、このままの中国でいてくれよ、恐いから」とも思う白楽雲です。

 

 今回の出張は大損害です。時計と言い眼鏡と言い、「レンズ交換幾らかな〜、こんな事なら現場用の眼鏡してくりゃよかった、全く、何てこった、パンダこった」(また吉本ギャグ)。

 

 招待所で、失礼のない様に着替えて、私の一番のお気に入りの眼鏡に架け替えて来たのです。しかし、あの青年と先生、そして、国営企業の面々に対して、確実に日本人のイメージアップになったでしょ。

 

 私は14年にも及ぶ中国との関わりの中で、随分日本のイメージアップに貢献したと思います(御土産ばら撒いただけだろ)。

 

 そんな私に「勲一等旭日大綬章」くらい寄越しなさいよ(勝手に言っとけ)。無能な政治家よりも日本の為に貢献したと思いますよ。たぶんね・・・。

 

(つづく)

 

 

 


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